レンアルの居る部屋

  1. パーティー会場で男性が女性に話しかける。会場にはピアノの音楽が流れている。
                【男性】。…素敵な旋律ですね。
                【女性】。ええ…あの源氏パイの…。
                【男性】。それは三立です。
  2. 「ツイッター兄弟」。
                リビングにて、兄は椅子に腰掛け何かの端末を見ている。弟は別のテーブルでスマホを見ている。
                兄、ボソッと呟く。
                【兄】。Kindle、読んでる途中につい最後のページ見ると「既読」マークがついてテンションが下がる。
                弟、ボソッと呟く。
                【弟】。表紙長押しから未読にできますよ。
                兄、ぎゅーっと端末の画面を押す。未読に戻すことに成功したようだ。兄は端末を見たまま言う。
                【兄】。知らなかった…ありがとうございます!
                弟はスマホを見たまま無言で親指を立て、兄に「いいね」のサインを送る。
  3. 結婚式場にて。職員の女性が親族の男性に受付の説明をする。
                【職員】。まずは来場された方に記名して頂いて、次にご祝儀を受け取って下さい。
                そう言ってから、式次第と書かれた冊子の山を指差す。
                【職員】。あとは手当たり次第、式次第をお渡ししていって下さい。
                【男性】。…手当たり次第でいいんですか?式次第は。
                【職員】。手当たり次第でいいですよ。ティッシュの要領です。
                【男性】。手当たり次第だと受け取れない人がいたり…2枚以上渡ってしまう人が出てきませんか?
                【職員】。かまいませんよ。式次第はたくさんありますし…受け取るかどうかはその人次第ですから。
                【男性】。そ、その人次第なんですか。
                【職員】。もっと言えば、渡すかどうかもあなた次第です。
                【男性】。わ、私次第なんですか…。
                【職員】。うちの式次第はそういうスタンスなんです。
                【男性】。…ちょっとまだ飲み込めていませんが…とりあえずやってみよう…と今決意ができた次第です。
                【職員】。大丈夫。次第に慣れますよ。
  4. 閑散とした野外ライブ会場に友人と来た男性のモノローグ。
                《「思ったより空いているね」、そう言うと彼は近くの空いている席へと歩いて行った。僕は彼の持つジュースの空の容器を見ていた。その空ろな中身を見ていると、何故だか空しい気分になって、僕は思わず空を見上げた。クゥ…。》
  5. 女子高校生SとN。
                【S】。「文字通り」という表現をここぞという場面で使いたいんだ…。
                2人は建物の陰に腰掛けて涼んでいる。Nは紙パックの飲料を飲みながらSの話を聞く。
                【N】。足長おじさんは文字通り足が長い、みたいな?
                【S】。いやダメなんだそれじゃ…。それだと「その名の通り」で事足りるだろう?「文字通り何々だ」で完結してるのが望ましいんだよ…。
                S、どんよりとした表情になり、ため息をつく。
                【S】。だがそう言うべきシチュエーションになかなか巡り合えないんだ…。私は文字通りさんに見放されているのかな…。
                【N】。…。敬称?
                N、呆れながらもSに言う。
                【N】。…まああんま思い詰めずにさ…そのうち出会えるよ。そういや今日けっこう涼しいね!
                【S】。ん?あぁ…。まあこの辺りは建物の陰になっているからそれもあるかな…。建物の…!
                S、突然目を見開き、がたっと立ち上がる。
                【S】。もっ…ももも、文字通り!文字通り!文字通り!文字通り!文字通り建物のお陰だぁあー!
                【N】。落ち着け!良かったな!
  6. リビングでくつろぐ春夫と秋子。
                秋子、皿にあけられた菓子を指して言う。
                【秋子】。このプレッツェルさぁ、意外と形にバリエーションあるんだよね…。何種類あるのかな?
                さまざまな形のプレッツェルを集めて並べる。
                【秋子】。まずこのおなじみのトンボの顔みたいなやつでしょ?車輪形のやつに、行事軍配の形したやつ…あっこれとか微妙に行事軍配とは違うよね?昔ながらの弁当みたいな。
                【春夫】。「行事軍配」ってやつは ちょうちょじゃね?
                【秋子】。えっ、えー…でも触角ないよ?
                【春夫】。このプレッツェル輸入品だし…相撲は国際的に人気とはいえプレッツェルの形になるほどかな?
                【秋子】。じゃあもうちょうちょでいいよ…。あっ。
                【春夫】。あと、「トンボの顔」も順当にいったらハートじゃない?
                【秋子】。え…今ちょっと昆虫しばりかなって思ったんだけど…。
                イラァ…とした様子をみせる秋子。
                【春夫】。…なんかゴメン。
  7. 20代男女AとB。女性Bが呟く。
                【B】。あれ…?「らくいんを押す」の「らく」ってどういう字だっけ?
                男性Aが反応する。
                【A】。あーそれ分かるよ。あのーあれと同じ!…あの…酪農の「酪」…。
                【B】。酪農の…?
                【A】。違うか…。
                【B】。絶対違うでしょ…。
                【A】。いや!でもそうかもよ?今は酪農とかに使われてるけど、起源的には実はそういうちょっとダークな意味の字だったみたいな…。
                【B】。これだよ。
                B、Aにスマホの画面を見せる。画面には「烙印」の正しい字が出ている。
                【A】。あー、火偏かあ…。
                【B】。酪農の酪じゃなかったね。
                【A】。ごめん…。
                【B】。私より酪農の酪に謝って。
                【A】。ごめん酪農の酪…烙印の烙だという烙印を押すところだった…。
  8. ショッピングモールを2人で歩いている女子大学生AとB。通りがかった店のマネキンが着ている、ジーンズのズボンを再利用して作ったようなデザインのスカートを見てAが言う。
                【A】。ああいうリメイクデニム風のスカートってさぁ、別の誰かジーンズ穿いた人の皮をはいで身にまとってるみたいで、ちょっと怖くない?
                【B】。ジーンズ穿いた人のジーンズって皮膚なんだ…。
  9. 百均に買い物に来ている男子大学生AとB。
                Aは買い物かごを抱えながら無人レジの付近をうろうろしている。
                【A】。あれっやっぱここ出口だ。クソッ入口はどこに…。
                Bが無人レジの入口からAに声を掛ける。
                【B】。おい、こっちだよ。
                【A】。そこかー!盲点!
                商品の清算をする2人。
                【A】。いやーごめんごめん、入口がどこなのかマジで謎過ぎて…。アマゾンの奥地へ向かいそうになったわ。
                【B】。絶対ないだろダイソーのレジの入口、アマゾンの奥地に…。

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