レンアルの居る部屋

  1. 【配達員】。サインは結構ですんで!
                【男性】。ありがとうございますー。
                配達員から小包を受け取る男性。小包に書いてある文字を見ながら居間へ戻る。
                【男性】。何だコレ、「タイムスリップ」…?本ではないようだ。
                【女性】。あ!ソレ私が買った奴ー。ありがとー。
                【男性】。彩佳がSF系好きなのは知ってるけど…「タイムスリップ」が届くってどういうこと…?
                【彩佳】。楽しみにしてたんだ!浩平にも見せるね。
                小包をハサミで開ける彩佳。
                【彩佳】。いま着るから待ってて!
                【浩平】。ん…?着る?
  2. 【彩佳】。着てみたよー。
                彩佳、時計の模様があしらわれたスリップを着用して浩平の前にやってくる。浩平は手をぽんと打つ。
                【浩平】。そのタイム《スリップ》か!
                【彩佳】。いや、これ以外ないでしょ…。着るってんだから。
                彩佳はスリップの左脇の部分を指して言う。
                【彩佳】。只のスリップじゃないんだよ。このワキのとこに謎ファスナーが付いてるでしょ?これを…。
                【浩平】。え、待って…!それってもしかして!
                【彩佳】。下ろす!
                ジー、とファスナーを下ろす彩佳。彩佳の体がペカーっとまばゆい光を放ち、浩平は驚きながら目を腕で覆う。
  3. 光が止むと、彩佳はスリップを着たまま、身長1メートル足らずの小さな子供の姿になっていた。
                【彩佳】。子どもになっちゃった!
                【浩平】。ヒィャアアアアアアアア!
                そう叫んでから、ヘナヘナと腰から倒れこむ浩平。それを尻目に、彩佳は自分の着ているスリップを見て、あることに気づく。
                【彩佳】。む?これはもしや…。
                浩平、震えながら彩佳を指差して言う。
                【浩平】。え、それってあの…可逆?不可逆じゃないよね…。
                【彩佳】。あ、その点は大丈夫だと思う。商品説明に「可逆です」って一言だけ書いてあったし…。
                【浩平】。信用していいのそれ!
                【彩佳】。も一度上げればもどれるはずだから!じゃ行くよ?
                ジー、とファスナーを上げる音。再びペカーっと放たれる光。腕で目を覆う浩平。
  4. 【浩平】。も…戻った…!
                彩佳は元の姿に戻っていた。
                【彩佳】。やっぱり…。
                【浩平】。良かった…。戻らなかったら戸籍とかどうすんだとか一瞬考えた…。杞憂だった…。
                彩佳は興奮した様子で言う。
                【彩佳】。そんなコトより浩平!このスリップ、画期的だよ!中身の体に合わせてスリップ自身も伸縮するの!だからよくある…自前の服のまま変身したせいでダボダボになったり、逆にパツパツになってムダにお色気路線になるのを回避できるということ!全裸にもならなくて済むから人前でも手軽に変身が可能!
                彩佳は、体が小さくなったせいで服がダボダボになり「出れないー」となっている人や、逆に大きくなったことで服がパツパツになって「イヤーン」となっている人のイメージを思い浮かべている。
                【彩佳】。理にかなっている…!スリップである意味がちゃんとあるんだねぇ…考えた人すごい!
                浩平は彩佳の話を聞いて、「あー」と言いながらも、「人前で変身する機会がまずないと思う…」と思う。

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